網走番外地

藤圭子がカバーした「網走番外地」をふらっと聴いてたんですけど、「キスして、キスして♪」って随分可愛い歌詞だな〜でも「網走番外地」としてはその歌詞はないんじゃないか???と思いつつ検索してみたら、本当の歌詞は「酒(きす)ひけ、酒(きす)ひけ、酒(きす)暮れて……」でした。そりゃ高倉健が「キスして♡」なんて歌うわけがなかったわ。健さん……。


網走番外地-藤圭子- - YouTube

昔の日本語はちょっと違ってて分かりにくいですね。歌とか映画とか。それが魅力でもあるんですけど。

それで思い出したのですが、最近リールで日本人の知人とそのパートナーの方とお会いして、その方(フランス人)が日本映画が好きだそうでほんとうに色々見ていらして。私は日本の映画とか知識程度しか知らないし、苦し紛れに「私は飛行機で小津安二郎の『秋刀魚の味』を見た」って言ったんです。それでその『秋刀魚の味』のフランス輸出用タイトルは『Le Goût du saké(酒の味)』なんだよっていう話が出て。私がこれについてちょっと記憶にあったのは、ドゥルーズのシネマか何かで見たせいかもしれない。

wikipediaによるとイタリアやスペインでも「酒の味」、一方英語・ドイツ語では「秋の午後」と思いっきり超訳されているので、ラテン語圏のほうがまだ原題に忠実なようです。

でその、私が年明けに国際線の飛行機で小津の『秋刀魚の味』を見たときに、ヘッドホンの問題か役者さんのせいなのか台詞が全然聞き取れなくて、英語字幕を見ながら物語を把握していたので、やっぱり昔のひとは話し方とかもいまのひとと色調が違いますね、というようなことを、「網走番外地」の空耳から思い出しましたよ、という話。

 

(ある出来事を契機に別のある出来事が思い出されるということはよくありますが、でもそれをいざ伝えようとすると、私の中でその双方は繋がっているんだけど傍目には「こいつ話飛んでるな」みたいに思われたりして、ほんとひとに伝わるように話すというのは難しい。)